米国ライト・ビールの成功は、伝統的ブランド・ビールをどのように変えるか?
2012年 1月30日
1月中旬、米国ビール業界は転機を迎えた。「ビールのキング」とかつて呼ばれたバドワイザーが、バド・ライト、クァーズ・ライトに及ばず、国内売上第3位に転落したからだ。80年代後期のある時点では、バドワイザーは業界に君臨する、年間売上5,000万バレルを誇る無敵のブランドだった。しかし、時代の流れは、低カロリーの「ライト」ビールへの人気を導き、「レギュラー」ビール売上を徐々に下げる結果を導き、バドワイザーは近年、年間1,800万バレルも出荷されないほどとなった。今日、米国上位5ブランドのうち4つのビール・ブランドが「ライト」であることがそれを物語る。さらに注目すべき点は、国民的人気で愛されてきた飲料ブランドの転落は、この1年間で、これが2度目だということ。昨年3月、ペプシは、長年の売上第2位の座をダイエット・コークに奪われ、コカ・コーラ社2ブランド(コカ・コーラとダイエット・コーク)に上位2つの地位を独占させる結果となった(弊社業界情報2011年3月24日付に関連記事)。健康という言葉をビールに結びつけることはこれまでにないことだが、ライト・ビールは明らかに健康嗜好の消費者の現在の需要に応える選択肢を提供する。その一方で、バドワイザーとペプシのような世界的に著名なブランドを持つ企業は容易には主要製品の移行を実施することはできない。その理由は、その著名ブランドがその企業の魂であり、社員を支える誇りであるからだ。ある調査によれば、その企業を象徴する伝統的ブランドはいまだに消費者に愛され、その売上は、「健康に良い」とされる飲料の倍近くの売上、平均的に見て総売上の61%、を占めていることが明らかにされている。歴史の長い著名ブランドを持つ企業には、健康志向という将来と、企業中核の浸食、を巧みに進むことが要求される
(The Atlantic, Jan. 26, 2012)