米国での輸入ビール、実はアメリカ産ビール

2011年11月14日

米国で依然人気の高い輸入ビールは、「アメリカン」ビールになりつつある。ディアジオ社(英国)のビール・ブランド「レッド・ストライプ」は、「ジャマイカ・テイスト」と謳いながらも、今後は、海とは無縁の米国内陸の州にある工場で醸造される計画だ。アンハイザー・ブッシュ・インベヴ社のブランド「ベックス」は、「世界一のドイツ・ビール」と宣伝するものの、米国市場向け生産の拠点を来年初頭に米国セントルイスへ移す。ミラークァーズ社の「フォスターズ」ビールは「オーストラリア」のイメージを出しながらも、実際は米国テキサス州で醸造されている。最近、特にメジャーなビール・メーカーは、ブランドの「海外産」イメージを保ちながらも、費用節約ならびに柔軟性を求めて米国へ生産拠点を移す傾向が顕著だ。地元で醸造することにより財務上得られる利点は、マーケティングで不利となる得る危険性よりも魅力的だ。輸送費用が削減される分を、例えばブランド確立のために向けることも可能だ。また、ドル安の影響で輸入品が高騰するような不測な事態も回避する。米国のビール売上がスランプにある今、生産能力をもてあます米国の醸造会社が輸入ビールを受け入れる余裕もあるかもしれない。前出のディアジオ社は、米国ウィスコンシン州のシティ・ブリューイング社と提携し、シティ・ブリューイング社に、来年初頭よりディアジオ社ブランド「レッド・ストライプ」を米国市場向けに醸造させながらも、ジャマイカ、ブラジル、カナダならびに欧州向けには、ジャマイカを拠点とするDesnoes&Geddes社にこれまで通り生産させる。一方、ハイネケンUSA社(オランダ)やクラウン・インポート社は、輸入ビールは醸造場所が重要なのであり、生産を米国へ移すつもりはないとの信念を明確にする

(Advertising Age, November 14, 2011)

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