ノンアルコール・ビール、西欧で需要伸ばす
2011年 8月31日
スペインは、一人当たりのノンアルコール・ビール消費量が世界で最も多い国。ビール売上低迷が続く先進国市場を背景に、世界のメジャーなビール・メーカーが注目している市場だ。ハイネケン社(オランダ)は、2008年以降、西欧にて、ノンアルコール・ビールを少なくとも10ブランド発表した。カールスバーグ社(デンマーク)は、複数のノンアルコール・ビール・ブランドを、ノルウェイ、フィンランド等にて発売。アンハイザー・ブッシュ社(ベルギー)もまたノンアルコール・ビールをベルギーで販売開始した。西欧では、過去5年の間に、ビール売上は全体で7%落ちたにも関らず、ノンアルコール・ビールに限ると売上は37%上昇した。アルコール度数約6%の通常のビールは、最近では特に新興諸国市場において、主力製品であることに変わらず、ノンアルコール・ビールの市場に占める割合は、ほとんどの場合、2%以下である。ノンアルコール・ビールの「メッカ」と言われるスペインは、しかし、同国のビール消費量全体の13%を占める。同国では、ノンアルコール・ビールは、1980年代から注目され始め、同国政府が飲酒運転防止を目的にノンアルコール・ビールをあらためて紹介するキャンベーンを本格的に開始したおよそ10年前から売上が上昇し始めた。2000年以降のスペインでの交通事故死約50%減は、このキャンペーンに寄るところが大きいと言われる。少し前までは、ノンアルコール・ビールは、ビールに程遠い味から、米国では「near beer」、西欧でも「ウォーター」と揶揄されてきたが、その味は、醸造技術の進歩により大きく改善している。より若い消費者を取り込むために、最近では、レモンやアップルなどのフレーバーを加えた製品も登場している
(The Wall Street Journal, August 30, 2011)