東アフリカ・ビール市場、SABミラー社とディアジオ社
2011年 6月 7日
国際的に認知度の高いブランドを持つビール・メーカー、SABミラー社(英国)とディアジオ社(英国)両社の、アフリカのケニアならびにタンザニア夫々の市場へのアプローチを大いに助けた9年間の契約が終了を迎える。ディアジオ社が最大株主である、東アフリカ地域の大手ビール・メーカー、イースト・アフリカ・ブリューワリーズ(EABL)社は、SABミラー社が現在所有する、EABL社が経営権を持つケニア・ブリューワリーズ社の株20%を買取る。また、EABL社は、SABミラー社が所有権を有するタンザニア・ブリューワリーズ社の持ち株20%を売却し、タンザニアにおけるタンザニア・ブリューワリーズ社のライバルであるセレンゲティ・ブリューワリーズ社の株51%を取得する。ケニアで販売されるビール10本のうち9本EABL社ブランドと言われるほどケニア市場でのEABL社(つまりディアジオ社)の独占が確実となる。ケニア市場での認知度が弱くなるSABミラー社の、それではタンザニア市場での地位はどうかと言えば、同社のタンザニア・ブリューワリーズ社よりもむしろタンザニア市場シェア17%を占めるセレンゲティ・ブリューワリーズ社の方が優位だ。その上、ディアジオ社にはタンザニアに生産拠点が残されるものの、対するSABミラー社にはケニアに生産工場はない。南アフリカ市場がSABミラー社のアフリカ大陸での事業を支えているのと同様に、ケニアは、ディアジオ社のアフリカ攻略の要となる。SABミラー社のケニアでの今後の戦略は、「プレミア」ビールに特化することかもしれない。この戦略は、ライバルが強力な存在である市場で、多くのビール・メーカーが取る消費者へのアプローチ方法であり、例えば、アンハイザー・ブッシュ・インベヴ社が独占するブラジル市場でのハイネケン社、ならびに、SABミラー社独占の南アフリカ市場でのディアジオ社とハイネケン社がそうである。SABミラー社は、ケニアでの今後の役割縮小を受け入れる一方で、タンザニアでの地位を守ることに注力することが得策なのかもしれない
(just-drinks.com, June 6, 2011)