メジャー・ビール・メーカー、増益目指しマーケティング見直し
2011年 5月10日
先進国の人々は以前ほどビールを飲まなくなったと言われる。ビール売上は、2010年、北米では前年比1.5%減、西欧では2.3%減。地元の小さなビール・メーカーが作る地ビールだけが依然好調で、米国では2010年11%も売上を伸ばした。生活に余裕のある人々は、このような特殊ビールを好むか、ビールよりもワインやハード・リカーを好むとの見方もある。さらに、最近では、先進国の愛飲家は家で飲む傾向が顕著となり、例えば英国では、販売されたビールの半分は家庭で飲むためとの統計が出ている。ビール・メーカーにとり、スーパーでの利益率は、バーでの利益率よりも低いため、この傾向もまたビール・メーカーにとっては悩みの種だ。一方で、メジャー・ビール・メーカーは、地元メーカー買収を通じ、新興諸国参入も試みるが、新興諸国での一人当たりのビール消費量は、先進国のそれには程遠く、また、新興諸国市場は、先進国の場合と同じような収益を見込めないのが現状だ。このような状況に直面する世界のメジャー・ビール・メーカーは、ビジネル・モデルを変えつつある。彼らの夢は、本社により直々に作られる世界で統一されたキャンペーンを利用して、ビールを「高級洗剤」のように売ることだ。カールスバーグ社(デンマーク)は、先月、著名消費財メーカーから人材を獲得、アンハイザー・ブッシュ・インベヴ(ABI)社も同様の計画があると言われる。消費財メーカーのように、宣伝費への投資を増やし、もっと密にブランドを宣伝する必要があると考えるからだ。また、一方で伝えられるのが、メジャーどうしの統合だ。四大ビール・メーカーを合わせたシェアは1998年の22%から2010年には50%弱に増加。SABミラー社は、モルソン・クァーズ社、フォスターズ社(オーストラリア)、Efes社(トルコ)それぞれの買収を狙う強力候補者であり、それにハイネケン社も加わると言われている。ABI社は、メキシコでトップのビール・メーカー、グルッポ・モデロ社の100%獲得を狙うとも伝えられる
(The Economist, May 5, 2011)