経済不況、ビール売上に大きく影響
2010年11月16日
経済不況とそれに伴う各国の緊縮財政で、先進国のタバコならびにビール業界は長期にわたる低迷を余儀無くされる可能性がある。タバコとアルコール飲料は、各国政府にとって課税し易い。ただ、今回の両業種の低迷は、これまでとは異なると、あるアナリストは言う。欧米のビール売上は、2001年と2002年の景気後退時期にも上昇した。しかし、昨年、世界四大ビール・メーカーはそろって2008年度よりも売上を下げており、特に欧州と北米市場での落込みが激しかった。バーで飲む習慣のある国々では、消費者の多くが家で飲むようになった。ハイネケン社は、今年第3四半期の業績が特にオランダ、ギリシャ、イタリア、スペインそして英国で落ち込んだと報告した。売上の半分を米国で占めるアンハイザー・ブッシュ・インベヴ(ABInBev)社は、金融危機で特に影響を被った、業界にとっても最重要な人口層である、男性若年層のアルコール飲料摂取の減少に言及した。この状況下では、新興諸国市場への拡張と新製品開発が最も必要な成長の源となる。中南米市場を独占するABInBev社、アフリカで確固たる地位を築くSABミラー社はその点で強い。一方、先進国では、高い価格を付けられる「プレミアム」を売ることが戦略のひとつ。ABInBev社は、低価格帯のビール価格を上げ、プレミアムとの差を狭める戦略を取った。その点で、低迷が長引く西欧からの収益が昨年半分以上を占めたハイネケン社が、最も深刻にこの問題に直面していると思われる。同社は、ハイネケン・ブランド、テキーラ・フレーバーのデスペラードなどのプレミアム・ビール、そして、この不況時に女性層・若年層で伸びを見せるサイダー(果実系発泡酒)に期待を寄せる
(Reuters, November 15, 2010)