インドでは、コーラと言えばペプシ?
2010年 9月 9日
コカ・コーラ社は、近年の特に欧米での売上低迷をカバーするために、新興諸国の需要増に期待する。そのひとつインド市場は、他国の場合と事情が多少異なる。そこでは、「コーラ」飲料は総称して「ペプシ」と呼ばれているからだ。ペプシ・コーラのインド市場で占める割合は、コカ・コーラよりも73%大きいと言われる。コカ・コーラ社は、インド政府が同社に対して現地企業との提携ならびにコカ・コーラ成分の開示を要求した1977年、インドから撤退。一方、ペプシコ社は、インドが欧米企業に本格的に門戸を開いた1988年、インドの2企業とジョイント・ベンチャーを設立、2年後に「Leharペプシ」を販売開始した。欧米ブランド飲料がほとんど存在しなかった当時のインドで、「ペプシ」は欧米ブランド炭酸飲料全体を表す言葉となった。その後、インドの法律が変わった1993年にコカ・コーラ社はインド市場へ再び参入した。その後一昨年までの15年間、インド市場を稼げる市場にできなかったコカ・コーラ社の前に今後も立ちはだかるのは、「ペプシ」だけではない。インド消費者の飲料嗜好もそのひとつ。インド飲料市場の90%は、紅茶、ミルクならびにコーヒー飲料から成り、ソフトドリンクは5%にも満たない。コカ・コーラ社は、コーラ・ブランドで世界各国の市場シェアを伸ばすのが常だが、インドでの同社製品売上トップ3は、Kinleyボトルド・ウォーター、サムズ・アップ・コーラ(93年に買収したサムズ・アップ社の製品)そしてスプライトであり、コカ・コーラ・ブランドは第5位。この状況下で、「ペプシ」=「コーラ」の認識を持つインド消費者に向け、コカ・コーラ社は、「Coldは「コーラ」を意味する」のヒンズー語キャッチコピーを冠したキャンペーンを展開している。「Cold」を意味するヒンズー語「Thanda」は、インド、特に北部では飲料を人にすすめる時に使われる言葉でもある
(Bloomberg, Sept., 9, 2010)