ボトルド・ウォーター、メキシコで伸びる理由
2010年 5月31日
メキシコでは、世界のどの国よりも、ボトルド・ウォーターが消費されていると、ベヴァレジ・マーケティング社は報告した。メキシコのボトルド・ウォーター市場は、世界全体の13%を占める。水道水の安全性についてメキシコ国民の懸念が長年払拭されないからだ。それを好機と見た世界の主要メーカーが、メキシコでキャンペーンを繰り広げ、ボトルド・ウォーター売上増に拍車をかける。メキシコのテレビを一旦つけたならば、コカ・コーラ社、ペプシコ社、ダノン社、ネスレー社らによるボトルド・ウォーターのコマーシャルを見ない時はない。メキシコ首都メキシコ・シティでの1985年の大地震による数多くの給水本管破壊も含め、同国各地域での水道管システムの多くが、充分機能せず、また古くなっている。この状況解決に適切に対応しないメキシコ政府が、これら大企業に貢献し、飲み水を商品に変えさせていると、メキシコのある消費者団体は政府を批判する。かつてはボトルド・ウォーターの本拠地とも言われた欧州が今プラスチック製ボトル処理に関わる環境問題で売上を減らす中、ボトルド・ウォーター・ブームに沸くメキシコ、インド、中国そしてインドネシアの市場は、これらの企業にとり天の恵みと言える。そしてこのボトルド・ウォーター・ブームは同時に、メキシコでも、消費済みプラスチック製ボトルをゴミとして増加させている。同国では、消費されるウォーターならびにソフト・ドリンクのプラスチック製ボトルのうち、わずか8分の1しかリサイクルされていないとのデータもある。また、同国の貧しい地域では、このブームに便乗し、個人経営のメーカーが増え、正式に検査されていない水をボトルに入れて安く販売するという問題も報告されている
(McClatchy, 2010 May 27)