アメリカン・ビール

2008年 7月21日

「米国の」ビールを探すのはもはや難しい。外資へ売却された米国ビール・メーカーは、今話題のアンハイザー・ブッシュ社が初めてではない。そのライバルであったミラー・ブリューイング社(米国ウィスコンシン州)は、現在、世界第2位のSABミラー社の所有だ。SABとはサウス・アフリカン・ブリューワリーズの略、しかし本社は英国ロンドン。では、米国人に人気の高いビールのひとつ、クァーズ・ライトはどうかと言えば、同製品の象徴、ロッキー山脈がカナダまで連なるように、クァーズ・ブリューイング社もカナダと関わり、両国に本社を置くモルソンクァーズ社となっている。それだけでは終わらない。同社は前出のSABミラー社と北米事業を統合、今年ミラークァーズ社を創出した。そうなると現時点で米国最大の米国ビール・メーカーは、パプスト・ブリューイング社(イリノイ州シカゴ)となる。が、同社は2001年に醸造工場を閉鎖、現在、同社ブランドはミラー・ブリューイング社らに醸造されているのだ。つまり、パプストですら、100%米国ビールではないということになる。米国最大となる「真の」米国ビール・メーカーは、ビール市場全体では大手に比べシェアの少ない「地ビール」部門にあった:それは、人気地ビール「サミュエル・アダムス」を醸造する、ボストン・ビール社である

(East Hills, 2008 July 20)

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