ビール市場、統合進む

2007年10月11日

今週SABミラー社(英国)とモルソン・クァーズ社(米国&カナダ)がジョイントベンチャー、ミラークァーズ社設立を発表、米国市場を狙う。近年の大手ビールメーカーの動向として特長的なのは、本国特に米国でのビール売上低迷に直面し、まず経費削減を目指し馴染みある国での事業統合を進め、その後、成長が約束される海外市場、つまりラテン・アメリカ、アジア、東欧ならびにアフリカに進出。最近のビールメーカー同士の統合では、SABミラー社の南アメリカ第2位規模のビールメーカー、ババリア社の吸収、インターブリュー社(ベルギー)のアンベヴ社(ブラジル)買収、そしてアンハイザー・ブッシュ社(以降AB)社による、SABミラー社との激しい戦いの末獲得した中国ビール・メーカー大手ハルビン社の買収がある。海外での統合を果たしたものの、結果は必ずしも良好とは言えない。AB社は利益の80%をいまだ米国市場に依存、2002年米国市場獲得を狙って起こした当時のSAB社のミラー社買収も、米国でのAB社独占状態を変えることはなかった。今回のSABミラー社の動きでは、米国でビールとして例外的に伸びを見せる地ビールを持つモルソン・クァーズ社を獲得した点が注目に値する。米国市場でのAB社との衝突は必至だ。最近噂になっているAB社とインベヴ社との統合がさらに現実味を増しそうだ

(Economist.com, 2007 October 9)

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