ワイン・ボトル栓
2006年12月28日
スクリュー・キャップはコルクに代わるのか
ワイン・ボトルの栓として長年使用されているコルクが、過去のものになるかもしれない...... 現在、ワイン業界では、コルクからスクリュー・キャップに徐々にではあるが変更する傾向が見られる。その主な理由は、コルクの加工過程で、また、製品として出荷されたあとでも増加すると言われる「コルク・テイント」と一般的に呼ばれる、TCA(2,4,6トリクロロアニソール)によるワイン品質劣化の問題を回避するためと言われる。
ワイン業界に23年間関わり、現在、フランスのPERNOD RICARD社に勤務するヒギンズ氏は、コルクに起因するTCAによるワイン品質劣化の割合は、全ワインの2~3%と推定する。
数年前よりワイン業界では、この問題に対処するいくつかの策が試みられている。そのうちのひとつにゴム合成コルクがあるが、従来のコルクに比べ、冷えたボトルから抜けにくいという難点がある。ヴィン・ロックと呼ばれるガラス製ストッパーも開発された。しかし、現在の所、世界的規模を誇る特殊容器メーカー、アルキャン・パッケージング社(本社をカナダ、モントリオールに置く、世界主要アルミ供給会社アルキャン社の一グループ)が開発・供給するステルヴィン・キャップの名でも知られるスクリュー・キャップが、その開け易さから、コルクに代わる栓として採用され始めているようだ。
スクリュー・キャップに対する消費者の反応は、今後更に明らかになるであろうが、「ワイン・ビジネス・マンスリー」誌の調査によると、2005年のオーストラリア産ワインの40%に、また、ニュージーランド産ワインの70%に、すでにスクリュー・キャップが使用されているとのこと。
コルクと比較し、製造費用が低く抑えられ、スクリュー・キャップ・ボトルをワイナリーで保管する必要がないという点で便利、など、スクリュー・キャップの利点を認める小規模ワイナリーもある。一方、ワインを長期間ねかす際、少量の酸素を必要とする点で、密閉性の非常に高いスクリュー・キャップのワイン栓としての適性を疑問視する声もある。
コルク業界は、コルク産出量が多いポルトガルに代表されるようにコルクオーク森林の保存に成果を上げていることや、コルクが再生可能で、生物分解性である点を強調。そして、長年使用されてきたコルクの持つ豊かな伝統、古い年代のワインを開ける時にコルクが徐々に醸し出す独特の神秘性、期待感、にこだわるワイナリー、ワイン愛飲家たちままだまだ多くいる。
(Copley News Service, 2006 December 22)