米国主要ビール・メーカー

2006年10月31日

ホリディ・シーズンに向けてチョコやパンプキンのフレーバー・ビール発表
米国では、10月末のハローウィーンを過ぎると、11月末のサンクス・ギビングそして12月末のクリスマスと、年末まで米国最大のホリディ・シーズンに入る。この時期には、通常、消費者の財布の紐は緩くなる傾向にあるが、今年もその機会を利用しようと、他の業界と同様、米国の主要ビール・メーカーは、その時期限定の、しかも地ビール・メーカーが長年の経験を生かし得意とする、「フレーバー・ビール」販売、を試みる。
米国第2位規模のミラー・ブリューイング社は、カカオを使用して醸造したビールを、同社の創業者の名を冠す「フレデリック・ミラー・クラシック・チョコレート・ラガー」として、米国中西部6州にて、これから年末までの限った期間に販売する。
一方、米国第1位の売上を誇るアンハイザー・ブッシュ社は、ヴァニラ・オーク・フレーバーのチョコレート・ビールを昨年に引き続き今年も販売することを決めた。同社は、また、秋向けにはパンプキン・エール、冬向けにはヴァニラ・フレーバーのバーボン・エール、をそれぞれ有しおり、今年は、それらを初めてプラスチック製ボトルに詰めて発表する。
米国主要ビール・メーカーのこうした動きは、ワインに代表されるビールを除くアルコール飲料に市場を独占されるという事態に直面し、ビールに再び活力を与えようとする試みの一環であると、ミンテル・リサーチ社アナリストのマックレイン氏は言う。国内主要ビールの売上が近頃低迷する中、地ビールならびに輸入ビールが売上を伸ばし、ビール市場を引っ張っているのが現状だ。
「フレーバー・ビールそのものが注目され売上増加を促す」と、地ビール・メーカー各社もこの主要ビール・メーカーのフレーバー・ビール市場参入を歓迎している模様。主要ビール・メーカーがフレーバー・ビールというニッチ製品を少量醸造するという姿勢が、地ビール・ファンに、主要ビール・メーカーへの信頼性を育ませるきっかけになる可能性もある。ある小さな町のパブで飲んだチョコレート・フレーバーのビールが、実はミラー社の製品であったことに驚き、その味が非常に良かったことにさらに驚いたという地ビール愛飲家もいるようだ。
ミンテル・リサーチ社によると、昨年度最大の売上を記録したビールのフレーバーは、レギュラーではあったが、第2位はパンプキン・フレーバー、そしてそれに続くのがハニー、ヴァニラそしてナッツ、というフレーバーであったとのこと。地ビール・レベルでは、ジンジャー、アップル、ブルーベリー等のフレーバー・ビールも販売されている。

(Associated Press, 2006 October 29)

業界情報一覧