ロシアのアルミ製ビール缶
2006年10月12日
アルミ製造会社の宣伝効果で、出荷量増加
ロシアでは、ビールは昔からプラスチック製容器に詰められ、ソフトドリンクやたばことともに道端のキオスクで販売されていた。貧しい人々のための安上がりの容器に入れられた安価な飲料と見られていた。
ロシア最大規模を誇るアルミ製造会社、RusAl社、は、そんなビールのイメージを変えつつある。同社が掲げるメッセージは、ロシアの流行に敏感な大人が好んで飲むのはウォッカではなくビールであり、彼らはそのビールをアルミ缶から飲む...というものだ。全ては、同社自身が創出した、同社の利益 -アルミ売上の増加- のためのキャンペーンだ。
1999年、ロシアでの缶需要は、市場の0.4%を占めるに至らなかった。缶のイメージは、当時市場に出回っていた、消費期限を過ぎ、過剰な防腐剤のために製品品質が劣化したスチール製輸入缶詰から受けたイメージである。RusAl社はそこに注目し、2000年にロシア国内で初の飲料缶製缶工場をモスクワ郊外に建設した。
RusAl社は、ビール・メーカーや消費者がアルミ缶を使い始めるのを待つのではなく、むしろ自ら、ビールの利点を称えるような広告を掲げることにより、アルミ需要を創出することを決めた。当然のことながら、宣伝するビールはアルミ缶に詰められている。現在放映される同社のテレビ・コマーシャルの数は14に上る。
しかしながら他方、ロシアの厳格な広告規制により、ロシアでのビール・メーカーの販促活動は容易ではない。ロシア国内では、テレビでのビールに関連する宣伝放映時間は、午後10時から翌日午前7時までに限られ、そのコマーシャルには、人間、動物、アニメの登場を禁じている。
このような環境下で、アルミ缶は、代替広告媒体を提供する。さらに、アルミ缶は、ビンやプラスチック製容器に比べ、色持ちが良く、ブランド名や図柄をより大きく見せるスペースがある、という点で、より効果的な広告を加えることが可能な容器である。このアルミ缶の利点は、店頭棚のみならずテレビにおいても非常に重要だ、なぜなら、「製品」そのものが、厳格な規制の中、放映を許されるほぼ唯一のものだからだ。
ロシアの流行の先端を行く大人たちも反応を示している。これらのキャンペーンを通じ、アルミ缶は、高品質で、環境に優しい容器だと認識され始めている様だ。
RusAl社の製缶部門、ロスター社、の前出のモスクワ郊外工場は、現在、年間15億缶の生産能力を有する。同社は、近年の缶需要増加により、さらに15億缶の生産能力を備える工場を、セント・ピータースブルグ郊外に建設した。
ロシアのビール用容器市場でアルミ缶が占める割合は、1999年の0.4%から、2006年には11.5%にまで成長している。
(just-drinks.com, 2006 October 4)