2005年11月 1日

米国にてビール用容器のビンからアルミ・ボトルへの置き換え進む

ビール用アルミ・ボトルが、約1年前に米国市場に導入されて以来人気が高まっている事実を米国アルミ業界では非常に歓迎していま
す。 米国のビール・メーカーであるアンハイザー・ブッシュ社が、「バドワイザー・セレクト」ブランドにアルミ・ボトルの採用を発表したことにより、一層歓迎ムードに拍車がかかっています。 従来のビン形状に近づけたバドワイザー・アルミ・ボトルは、米国で全国的に暑い日が多くビール消費がピークに達した本年7月に、タイミング良く発表されました。


他の人気商品にも新容器であるアルミ・ボトルをすでに採用している米国ミズーリ州セント・ルイスに本社を置くアンハイザー・ブッシュ社による前述の「バドワイザー・セレクト」ブランドは、バド・ライト、バドワイザー、ミケロブ・ライト、ミケロブならびにアンハイザー・ワールド・ラガーのブランドに続く、アルミ・ボトルで販売されるアンハイザー・ブッシュ社の第6番目のブランドとなります。 このアルミ・ボトルは、今年6月22日付「ザックス・ブロッケレージ・バイ・リスト」(購入すべき品物リスト)にも取り上げられました。


「消費者はアルミ・ボトルを非常に高く評価しているのは、それをおしゃれだとみなし、他の容器とは異なるものと見るからです。 この新しい容器に向けられる関心の大きさに、当社は非常に満足しています」と、アンハイザー・ブッシュ社セールス&マーケティング部ヴァイス・プレジデントのオウエンズ氏はコメントしています。


アルミ・ボトルは、クラブ、バー、レストランだけに限らず、破損しない容器持込が必要となる屋外イベントにおいても需要が高まっていると言われています。 「アルミ・ボトルの採用は大成功でした。 バドワイザー・セレクトやB(E)などの新製品の発表とともに打ち出した新容器の採用は、飲料としてのビールに対する関心を全体的なレベルで引き上げています」と、オウエンズ氏は語っています。


バドワイザー・セレクト用16オンス・サイズのアルミ・ボトルは、細身の、銀色を主体とした仕上げになっています。 このアルミ・ボトルは、米国オハイオ州ヤングスタウンのエクサル社により製造されています。 アンハイザー・ブッシュ社は、ビールにアルミ・ボトルを採用した唯一の会社ではありません。 アルミ・ボトルを採用することにより、好ましい評価を得た会社は他にも存在します。


ピッツバーグ・ブリューワリー社は 2004年8月に、同社の主力製品である「アイアン・シティ・ラガー・ビール」にビンに代えてアルミ・ボトルを採用しました。 最初に製造・販売された 20,000缶は出荷初日に完売となり、同年末までに、通常特定地域限定商品である地ビールを、全米規模で200万本販売するという結果となりました。 同社は、その後即座に、同社製「ICライト・ビール」をアルミ・ボトルで販売する計画を打ち出しました。


カナダのビール会社も、このピッツバーグ・ブリューイング社の成功例にならいました。 モルソン・カナダ社は、この3月に、アイアン・
シティならびにICライトに使用されたインパクト成形アルミ・ボトルと同様のボトルを同社製ビール「モルソン・キック」に採用しました。 モルソン社は、その製品を、「カナダ初のビール用アルミ・ボトル採用」として売り出しました。


生産能力を増強


ピッツバーグ・ブリューイング社ならびにモルソン社へアルミ・ボトルを納入している缶製造会社CCLコンテイナー社は、増加するアルミ・ボトル需要に対応するために、3,500万ドルを投資し、米国ペンシルバニア州ハーミタージュにある同社工場の生産能力を50%増強することを最近発表しました。


アルミ生産者側も、アンハイザー・ブッシュ社によるアルミ・ボトル採用に対する消費者の積極的な反応を知り、その結果を大いに喜んでいるのが現状です。 このアルミ・ボトルの業界に対する最終的な影響の大小を判断しかねている分析専門家もいる一方で、アルミ業界の将来について非常に楽観的である専門家は、アルミ・ボトルこそが、ビン製造会社から大きなビジネスを奪取する容器となるであろうと予測しています。


カルフォルニア・ワインをアルミ缶で


アルミ・ボトルで提供されるのはビールだけではありません。 カルフォルニア州のワイン・メーカーとボトラーが集合したあるグループは、ワイン用アルミ・ボトルを全米のワイン業界へ売り込むことを明確な目的として持つアルミ・ボトル組合を組織しました。


ビール用アルミ・ボトルの成功例が、ワイン用アルミ・ボトル供給会社を刺激していることは確かです。 ワイン業界ならびに消費者が、アルミ製の巻締めキャップを受け入れたことも、アルミ・ボトルへの変更の流れをつくる重要な動機となりました。


アルミ・ボトル組合によると、アルミ・ボトルの価格は、同サイズのワイン用のビンの価格とほとんど変わらないほどになってきているとのことです。 アルミ・ボトルがビンに優る重要な利点のひとつが、アルミ・ボトルには紙ラベルが必要ないという点です。 アルミ・ボトルへの印刷は、製造される時点でボトル上に直接施されるため、ラベル製造時間の短縮ならびに在庫コストを軽減できるとのことです。


費用


アルミ・ボトルは、将来の容器の主流となるのか、あるいは今日だけの流行なのでしょうか? この3月に開催されたアルミ協会春の大会における、米国ボール社北アメリカ・パッケージング・オペレーションズ最高執務責任者フリードリー氏による発表では、「アルミ・ボトルは、今現在米国では費用がかかりすぎるため、市場を独占するには至らないと思われる」としながらも、「ビール・メーカーやソフト・ドリンク・
メーカーのマーケティング部門のみならず消費者にも、アルミ容器の存在を新たに知って頂くのに貢献している」とのコメントが含まれていたようです。


確かに費用は、北アメリカ市場では特に致命的となりうる要素です。 今日の比較的高価で特殊なボトル容器の枠を越え、ユーザーの成長を促す能力を有する低コスト供給が可能なアルミ・ボトルが創造される余地はあると、一般的に言われている一方、米国の製缶会社によるアルミ・ボトル製造への大型投資が実行されない限り、過去5年以上の長期にわたり日本市場にて売上が伸張している程の成功を米国ではおさめることはないとも言われています。 しかしながら、CCL社による生産能力増強に3,500万ドルにも及ぶ投資が発表された今、業界に何らかの変化が起きている予兆とも思われます。

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